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なんでもポジティブに捉えるサッカー記録です^^ レフティやクセのある選手に注目しています。

アルテタ監督の二年間を振り返る-③ 〜賞賛から非難、そして・・・〜

②ではタイトルを二つ獲得し、監督キャリアを華々しくスタートさせたことについて書いた。その監督人生の危機から今について③では書いていく。

  • 創造力を欠く攻撃陣
  • 囁かれる"Arteta Out"
  • アルテタを救うヤングガナーズ
  • 若手が作り上げるチーム

〜創造力を欠く攻撃陣〜

19-20シーズンにはきっちり守ってのオバメヤンのカウンターでの得点という理に適った攻撃スタイルを確立して勝ち星を重ねていったアーセナル。だが、そういうチームには対策を練ってくるのがリーグ戦。開幕戦のフラム戦には0-3での勝利を収め、ウエストハムにも勝って連勝スタートをしたもののリバプール、マンシティに負け、8節から14節で2分5敗。その7試合では3得点11失点。契約更新後のオバメヤンのコンディションは上がらず、後体重になったチームは受身に回ることが増え、得意のカウンターも発動しない。3-4-3でカウンターじゃない時の得点パターンがないことが露呈してしまってからは厳しい戦いが続いた。ノースロンドンダービーなどではクロスが明らかに増えたが、ヘディングが得意な選手がいないチームでは成果が出るわけもなく、モウリーニョ監督のチームに完封負けを喫した。中盤と前線の接着剤となる選手が見当たらず、アルテタは苦心した。が時は待ってくれるわけもなく、リーグ戦の勝ち星から遠ざかった。

〜囁かれる"Arteta Out"〜

ビッグマッチでのあの考えれないクロス連発を見せられてはサポーターも黙ってはいなかった。日本のTLにも"アルテタの限界" "アルテタは監督してはもう見たくない"など厳しいツイートが並び、現地のTLにも"Arteta Out"が並び始めた。これは就任後すぐにタイトル獲得をしてしまったが故に期待感が高まりすぎたからこうなってしまったと思う。私はアルテタとの心中を考えていたので、彼に任せきってダメなら仕方ないと思っていたのでまだまだ大丈夫といった心境だったのを覚えている。アルテタ解任に賛成ではなかったのが、若手などから不満を伝える報道やインタビューがなかったからである。歪みまくっていたスカッドを整理することもまだできていないのにクビにすることが得策とは思えない。でも結果が伴っていないのでそういうことを言われても仕方ないなと思いながらそういうツイートを眺めていた。この試合負ければ彼は解任されると報道が出たりした中、迎えたのはチェルシー戦だった。

〜アルテタを救うヤングガナーズ

そのチェルシー戦ではスミスロウが初スタメン、そしてサカが躍動し勝利を収める。ここまで我慢していたサポーターからするとこの一勝が流れを変える。この試合でBack4に戻したことも好意的に捉えられていたが、サカが1ゴール、スミスロウが1アシストと若い力がチームに勝ちをもたらせたことが明るい未来を想像させた。このチェルシー戦を含め、7試合を5勝2分で乗り切り、批判的だったサポーターの声を結果で黙らせた。最終的順位は8位でヨーロッパの舞台からは姿を消すこととなるが、冬の移籍ではレアル・マドリードからウーデゴールをローンで獲得し、中盤と前線の接着剤を見つけることができた。少しずつ攻撃的なスタイルを取り戻し、その中心には自分が指揮を取り出してからの選手がいた。サカ・スミスロウ・ウーデゴールの三人がこの後、攻撃のキーを握っていく。この時、守備陣はティアニー・ガブリエルしか信頼できる若手がいなかったことが不安視されたが次の夏に大きな補強をすることとなる。

〜若手が作り上げるチームへ〜

チームの若返りを進める中で、21-22シーズンの夏にGKラムズデール(23歳)DFベンホワイト(24歳)・冨安(23歳)・タバレス(21歳)MFウーデゴール(23歳)・ロコンガ(22歳)を獲得した。これによってスタメンの平均年齢は一気に下がり、24歳付近になることもしばしばある。元々は未来への投資の意味合いが強かったが、本当の戦力になっている選手がほとんどでアルテタを含む強化部の目はすごい。若手中心で戦うのはある意味博打要素が強い。だが、これはこのチームを自分たちで作っていけるというやりがいにも繋がるはずで、オバメヤンのキャプテン問題で揺れたチームもガタつかなかったのは自覚を持った選手が多かったからである。この補強にはアルテタの思惑が強く反映されている。それはディフェンスラインの補強。彼らはボールの扱いに長け、ボールを繋ぐサッカーに適している現代的選手。そのおかげでバックラインからボールを繋いでゴールをするシーンが増えている。マンシティがウォーカーなどを補強した時に似ている。後ろからしっかり固め、前をどうにかしたいという思いがあっただろう。だが、コロナ禍の移籍マーケットは簡単ではなく、やっと望んだ補強ができたのではないかな。

21-22シーズンも出だしは厳しかったが、なんとか持ち直し元旦の時点で暫定4位につけるアーセナル。これはアルテタの補強と見極めた既存戦力の融合のおかげである。彼がしたいような華麗なサッカーはまだまだだが、歩んでいる方向は正しいはず。

ベンゲル政権の最後から続く歪んだチームを立て直すのは容易ではないが、そのベンゲルが見込んだアルテタが強い気持ちを持って立て直しているチームを愛さずにはいられない。